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ビジネススマートフォンカンファレンス2011[東京]
レポート[エーザイ株式会社]


iPad/Handbookの活用によりMRの業務活動に“質”を向上

エーザイ株式会社 戦略企画部 統合戦略室 ICTマネジメント担当 担当課長 開發 寛 氏

エーザイ株式会社 戦略企画部 統合戦略室 ICTマネジメント担当 担当課長 開發 寛 氏

1941年に設立された株式会社エーザイでは、「hhc(ヒューマン・ヘルスケア)」企業として、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考えそのベネフィット向上を第一義とし世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」を理念にグローバル規模での事業を展開。ビタミン剤「チョコラBB」をはじめとする消費者にとって身近な各種ヘルスケア製品、および医療用医薬品の研究開発、製造、販売に関わるビジネスを通じて、世界中の人々の健康への貢献を日夜目指しています。

ITの導入を軸にMR活動のさらなる強化を目指す

エーザイでは、2011年2月、医療用医薬品を取り扱うMR(医薬情報担当者)の活動を支援するツールとしてiPadを導入しました。「MRとは、端的に言えば、医薬品の営業マン。その主な業務としては、病院などの医薬関係者の方々に直接お会いして、自社の提供する医療用医薬品の品質・有効性・安全性などに関する情報の提供を行うというものです」とエーザイ 戦略企画部 統合戦略室 ICTマネジメント担当 担当課長の開發 寛氏は紹介します。

これに関し、同社ではiPad導入に先立つ2008年頃から、すでに自社のMR力の向上に向けた取り組みに着手。当時、同社はMRの絶対数が同業他社に比べて少ないことに加え、例えば、訪問計画なども各MRの裁量に委ねられていたといった体制上の問題にも起因して、その活動量も業界の中では決して高いとはいえない状態でした。

「そこで、まずはシンプルかつ継続が可能で、担当者からも納得が得られるような指標(KPI)を設定。それをベースにSFA(Sales Force Automation)を利用してITによる支援を行うことで、各MRのモチベーションを高めながら業務のPDCAサイクルを回していけるような環境を整備しました」と開發氏は振り返ります。そして、そうした取り組みの結果、同社はMRの活動量において業界上位へと躍進を遂げることになります。

常に最新の製品関連資料の閲覧するための仕組みとしてHandbookを導入

一方、そうした“量”とともにMR力の決定要因となるのが活動の“質”の問題です。同社におけるiPadの導入は、まさにそうしたMR活動の“質”の向上を念頭に置いた施策でした。そのためのツールとしてiPadを選定した理由について、開發氏は「電源がパッとついて、画面がきれいで、しかもバッテリーが長持ちすることがiPadのメリット。そうした3つの点で、ノートPCに比べて大きなアドバンテージであると考えました」と説明します。

iPad導入にあたっての具体的な施策として、同社ではiPad上にWeb閲覧やメール送受信をはじめ、営業実績の参照、薬品関連資料や動画の確認、患者フォローのための情報参照などを行える環境を整備。あわせて、頻繁に発生する製品関連資料のアップデートに対応し、常に最新のコンテンツの閲覧を可能にするための仕組みとしてインフォテリアの「Handbook」を活用することにしました。

「薬品に関わる公的文書の改訂は多い月で20件にものぼります。それに伴い、改訂1件につき、200〜300の製品資料も同時に改訂しなければなりません。これに対しHandbookなら、iPad上で指1本で最新の資料を速やかにダウンロードして閲覧可能。しかも、セキュリティポリシー上iTuneの利用がNGのケースでも、利用できるという点も大きなメリットです。HandbookがなければiPadの採用は見送っていたでしょう」と開發氏は語ります。

製薬業界での情報配信の仕組みのスタンダードとして期待

現在、同社では1700人のMRにこうしたHandbookの仕組みを搭載したiPadを配布。配布時には、自社サイトや学会、がんセンター、患者団体、競合メーカーサイトなどのブックマークを設定しておくとともに、会社が推奨する製薬業界向けアプリケーションなどもあらかじめ導入。「このように、営業マンがすぐ活用できる環境をキッティングで整えておくことは、利用促進の観点からも非常に重要です」と開發氏は言います。そして実際の運用では、配布時に導入されている推奨アプリケーションに加え、各MRが自ら必要なものを選択・導入して、自由に利用できるような形がとられています。その一方で、誰もが容易に使いこなせるよう、ビジュアルなマニュアルも自前で用意するといった対応も行いました。

以上のような取り組みの結果、エーザイではMRが常に必要な情報をiPad上に携帯し、速やかに参照できる環境を整備。その活動の“質”を大きく向上させることができました。「今後当社では、特に『がん』治療の領域をリードする製薬会社として大きく飛躍してきたいと考えています。そうした中で、患者様の病状に合わせた的確なデータを提供するというMRのミッションを確実に果たしていくためのツールとしてiPadおよびHandbookのさらなる活用を進めていきたいと考えています。特にHandbookに関しては、製薬業界での情報配信におけるスタンダードになるものと捉えており、これからの進化に大いに期待を寄せているところです」と開發氏は語り、セッションを締めくくりました。


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