インフォテリア、テックビューロ社共同開催
「フィンテックビジネスセミナー」イベントレポート
2016年3月4日、「フィンテックビジネスセミナー~ブロックチェーンが導くインフラ革新~」と題し、インフォテリア株式会社とテックビューロ株式会社の共催で、金融機関の関係者を対象とした、ブロックチェーン技術の理解と利用促進のための情報提供を目的とするセミナーを開催いたしました。本セミナーのゲストスピーカーは日本マイクロソフト株式会社執行役最高技術責任者CTOの榊原彰氏、カレンシーポート株式会社代表取締役CEOの杉井靖典氏、そして当日発表のスペシャルゲスト2名の計4名。
当初の定員100名を大幅に超えるお申し込みが殺到し、急遽会場を拡張するなど、セミナー会場の大手町フィナンシャルシティのカンファレンスセンターホールが満席になるほどの多くの方がご来場。「フィンテック」、「ブロックチェーン」に対する注目度の高さを伺うことができました。
各講演レポート
特別対談:国内外のフィンテック最新動向
日経FinTech編集長 原隆氏に聞く、海外・国内のフィンテック最新事情
~フィンテック界隈は海外との競争に備え、国内の環境整備が急務~
インフォテリア株式会社
代表取締役社長 平野 洋一郎
スペシャルゲスト:
日経FinTech 編集長 原 隆 氏
BC Finance CEO Jeremy Kloiser-Jones 氏
インフォテリアCEO平野からの開会挨拶後のセッションは「特別対談~国内外のフィンテック最新動向」として、1人目のスペシャルゲスト日経FinTech編集長の原隆氏がステージに登壇。3月22日に創刊する日経FinTechについて、金融とITをつなぐ「場」としてフィンテックの発展に貢献していきたいという創刊の意図と意気込みを述べられました。
まず、海外の最新動向としてSquareやPaypalの事例を紹介。海外ではさまざまなサービスが熾烈な争いを繰り広げており、事業の変化スピードが圧倒的に早い点を大きなポイントとして挙げていました。
海外の動向について原氏からの話が一段落した後、ステージには2人目のスペシャルゲスト、ミャンマー最大のマイクロファイナンス企業であるBC FinanceのCEO、Jeremy Kloiser-Jones氏が登壇。セミナー当日に発表したインフォテリアとの提携に至った経緯などについて説明をおこないました。Jeremy氏による説明に重ねて、原氏よりフィンテックは既存のプレイヤーがいない新興国のほうが先進国よりもおもしろい動きになる可能性がある、として今回の提携を含め今後の展開に期待を込めました。
―「BC Finance」についてー
ミャンマー連邦共和国において認可されているマイクロファイナンス機関です。私達のビジョンは、業界を先導しマイクロファイナスやそれに付随するサービスを、ミャンマーで貧困や地理的な理由で充分な金融サービスを受けることができない人々に継続的に提供していくことです。私達は、人々の生活の改善を通じてミャンマーの発展に寄与していくことに取り組んでいます。
続いて原氏の話は国内の最新動向へ。国内のフィンテック周辺の環境がまだまだ未成熟であることや関係者の見識が深まっていない点などに対して憂慮を感じており、海外勢との競争に備えて環境が整備されていかねばならない、と訴えました。最後に、国内のフィンテック関連の企業に対する激励のメッセージでセッションは終了しました。
セッション:プライベート・ブロックチェーン 「mijin」の正体
テックビューロ朝山氏が語る、「mijin」の現状と今後の展開
~プライベート型ブロックチェーン「mijin」は多くのメリットを提供する~
テックビューロ株式会社
代表取締役社長 朝山 貴生 氏
続いてのセッションはテックビューロCEOの朝山貴生氏。まず最初に「mijin」の簡単な紹介を済ませたのち、本題であるブロックチェーン技術に関する話へ。画期的な点は「ピュアP2Pネットワークに決済システムを設置したこと」、「中央管理者がいないこと」の2つで、これらが大きな可能性の根拠となっている、と強調しました。また、mijinに対する誤解やパブリック型とプライベート型の違いだけではなく分散型データベースとの比較についても言及。金融システムでの利用について分散型データベースよりもブロックチェーン技術のほうが優れている、という持論を展開し、ご来場の方も大きく頷いている姿が非常に印象的でした。
そしてGMOアプリクラウド、OKWAVE、ロックオンのケースを取り上げ、mijinを組み込むことで機会損失の解消をはじめ、多くのメリットを提供することができるようになる、とのこと。mijinは今後、現在準備中のPaaS形式での提供を始めるだけでなく、今年の夏には海外展開を予定しているため、今後の展開に注目が集まります。
セッション:フィンテックを加速させるデータ連携基盤
ブロックチェーン技術の普及を後押しするAPIとASTERIA
~ブロックチェーンの活用はAPIが肝!データの個性に合わせたシステム構築~
インフォテリア株式会社 マーケティング本部
プロダクトマーケティング部 シニアプロダクトマネージャー 森 一弥
休憩を挟んだあとのセッションはインフォテリアマーケティング本部プロダクトマネージャーの森が登壇。Googleトレンドにおける国内と海外の検索動向をご紹介。そのグラフをもとに、日本における「ブロックチェーン」はまだ初動の段階であり、今後一層の注目を集める可能性がある、との見解を示しました。
続けてブロックチェーン技術の特徴と使い方を簡単に総括した上で、ブロックチェーン技術だけでシステムが構築できる例は多くないため、システム開発は必要となることを強調。そのシステム開発においてAPIやASTERIAのようなツールを合わせて利用することで「開発コスト」、「構築期間」、「既存資産活用」の削減に有効である、と訴えました。
パネルディスカッション:ブロックチェーンが拓くインフラ革新とは
エキスパート4名が語るブロックチェーン技術の展望
~ブロックチェーン技術はフィンテックを超えて大きなインパクトを与えてゆく~
モデレータ:
平野 洋一郎 インフォテリア株式会社 代表取締役社長
パネリスト:
榊原 彰 氏 日本マイクロソフト株式会社 執行役 最高技術責任者
朝山 貴生 氏 テックビューロ株式会社 代表取締役社長
杉井 靖典 氏 カレンシーポート株式会社 代表取締役・CEO
本イベント最後となる、パネルディスカッション「ブロックチェーンがひらくインフラ革命」には日本マイクロソフト株式会社CTOの榊原彰氏、カレンシーポート株式会社CEO杉井靖典氏、テックビューロ株式会社CEO朝山貴生氏、そしてインフォテリアCEO平野洋一郎の4名が登壇。平野がモデレーターとして3名の方への質問形式でセッションは進みました。平野からの質問は「ブロックチェーンの最も注目しているポイント」、「ブロックチェーンの今後の動向について」などに関して3名のパネリストの方の意見が飛び交いました。
特に、今後の動向に関しては榊原氏、朝山氏の両氏はまだまだピークの前だろう、との見解だったのに対し、杉井氏はピークを過ぎたあたりと主張が分かれる場面も。それぞれの方がご自身の見解を熱くぶつけ合う様子に来場者の方々も引き込まれている様子でした。
その後も議論や各々のブロックチェーンに対する展望などへの言及が続いたあと、最後に平野から今回の総括として、ブロックチェーン技術はもはやフィンテックにとどまらずさまざまな分野への応用可能性が現実味を帯びてきたこと、そして技術基盤だけでなく、ビジネスそのものに大きなインパクトを与えていくことになるだろう、として締め括りました。
まとめ
今回の開催でも急遽席数を倍増するなど、世間で大きな注目を集める「フィンテック」、「ブロックチェーン」をテーマにお送りした本セミナー。大きな注目を集めるブロックチェーン技術に対し、決して一方向に振れるではなく、さまざまな視点からその可能性を前提とした意見、発言が飛び交うなど、建設的な場となったのがとても印象に残り、今後の展開に期待できる内容となったのではないでしょうか。
今後もインフォテリアではブロックチェーン技術やフィンテック周辺の情報を発信していくことで技術の普及に対してバックアップをしてまいります。今後も引き続き、ご期待ください。
※ 本セミナーについてレポート頂いた記事がウェブ上にも掲載されています。こちらも合わせてご一読ください。